入学おめでとう!!

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いや、それも少し違うか。 その馬鹿力の理由が分かったから、納得して何とも思わなくなったに近い。 詳しく言えば、分からないことが分かったからなのだが、ややこしいからこれでいいだろう。 今度は袖でなく、手首を掴んで催促する彼女に、僕は思わぬ伏兵が現れたとちょっと驚嘆。 マフラーが元気に蠢いていることから見るに、どうやら栞は知っているらしい。 僕が探している、伊犂水辺さんの居場所を。 それなら好都合、と僕はその催促に応じて足を動かす。 僕が歩き出したのを確認して、栞は前を歩き始めた。 迷い無き足取りで、何処へと向かっていく。 邪魔な生徒を次々に躱していくのは、流石としか言いようがない。 それに便乗してついて行く僕も、僕だが。 東棟と南棟を繋ぐ廊下を通り、今度は階段を上って三階へ。 音楽室や美術室など、副教科の教室が多く存在するこの南棟では、東棟と比べて見受けられる生徒は少ない。 通常よりも少し少ない、という東棟から来た僕としては、天国とも思える環境だ。 湾曲した廊下を歩きながら、僕はその解放感に浸る。 が、それも長くは続かなかった。 「ほら、あそこあそこ」 そう言って栞は指差す。 南棟を殆ど出ており、西棟へと繋がる廊下まであと数歩といった所だった。 そんな場所で栞が足を止めてまで見せたものは。 「うっわ……絶対あそこにいるな…」 西棟の屋上で群れる、男子共の姿だった。 なんともむさ苦しい景色だ、と苦笑いするが、せめてもの救いか。 屋上の出口から半分までの空間しか、そのイビルワールドは形作られていなかった。
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