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入学式が終わると、当然の如く歓迎会が開かれる。
この学校は、そういう風習があった。
「ちょっとごめんよー!」
威勢の良い声と共に僕の肩が押し退けられた。
傾いだ身体を立て直し、小さく眉を潜めた。
どこを見ても歓迎会の準備で大忙しだ。
人員を掻き集めて出来上がった役員達も、ちらほらとしか見受けられない程ごった返している。
これでは、困った時に誰に相談すれば良いか分からないではないか。
階段は廊下以上の混雑具合。
物品を運ぶ為や、移動などに様々な者が行き来する為だ。
こんな所を通るくらいなら、窓から飛び降りた方が賢明。
そう結論を出し、僕は階段へ向けていた足を止める。
そして後ろへ。
外部生も手伝いに来ているこの準備。
とてもではないが、溢れかえる様な人数の中から特定の人物を探し出すのは、不可能に近い。
様々な髪型をした、ありとあらゆるファッションセンスをぶら下げる中では、個の印象など皆無。
百の泥だんごが並べられた中、特定の人物が作ったものを識別するようなものだ。
夢物語とでも言えばいいのだろうか。
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