入学おめでとう!!

6/16
前へ
/160ページ
次へ
人が身体に当たるにつれて、僕の気力が奪われていく。 普段なら取る側の僕が、今は奪われる側だ。 笑えない。 そんな事を考えながらげっそりとしている時、ふと知った顔を発見した。 偶々、少しだけ空いた空間に出た時にちらりと見えた。 沢山の頭に紛れて、キョロキョロと辺りを見回している。 飛び跳ねたりもして、何かを探してる風の彼女は、周りから浮いていた。 赤紫色の髪を揺らしながら辺りを伺っている様は、少々…ではなく多々異質だった。 ある理由で、校内で幅広くその名を広めているという事もあるが、それだけではない。 外の学校の生徒達も驚いたような目で見ている。 その理由は、考えるべくも無く分かった。 一つ、その姿が驚く程に可憐な少女だということだ。 肩にかかる程度に、バラバラに切られた赤紫色の髪は、白く綺麗な肌によく映えている。 そして、少々小さめの身長が母性本能を擽る。 ぴょんぴょん飛び跳ねているのもまた、それを増長させているだろう。 もう一つ、単純にその行動が目立つ。 何をしているんだおのれは、という視線がちらほらと見受けられる。 有り体に言えば、通行人の邪魔だ。 最後に、彼女の首回りのもの。 詳しく言えばマフラー。 尻尾みたいに蠢いているのだ。 白と紫の二色で彩られたそれが。 それらの要素を合わせて、凄く目立つ。 何を探しているのかは、分かるが。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加