入学おめでとう!!

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事実は小説よりも奇なり、というやつか。 この少女との巡り合わせは、僕にとっての大きな転機だった。 そう、個人的には、あまり好ましくないやつ。 「――…って、なあ栞。なんで僕を探してたんだ?」 「んん~?…んー……暇だったから…?」 「なぜ困った顔をする」 疑問符を数個程頭に浮かべる栞に対して、僕は小さく嘆息する。 今日で何回目だ、溜め息を吐くのは。 七、八回はしているぞ。 一日にそんな沢山してたまるか。 毎日のように、それくらいしているが。 当の元凶である栞は、手をぶらぶら振って頭を捻っていた。 そこまで考え込む程のことではないが、こいつの事だから予想は出来る。 些細な事にも無駄に本気で悩んで、分からなかったら簡単に匙を投げるやつだ。 面白いことには全力を注ぐようだが。 「んー……まぁ、いいや。帰ろ帰ろ?」 案の定、栞は考えるのを止めて催促してきた。 ニコニコと笑顔を向けて袖を引っ張ってくる。 無邪気にアピールしてきてはいるのだが、僕にはそれに乗ることが出来なかった。 単純な話、伊犂水辺さんを探さなくてはいけないからだ。 「いや、僕はする事があるんだが…」 その旨を伝えると、栞は首を傾げた。 アンタにそんな仕事があったっけ、とでも言いたげな目だ。 じゃんけんで係から抜けたんだ、何も悪くないぞ。
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