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でもそれをどうやって彼女に伝えていいか分からない。
気の利いた言葉がやっぱり出てこない自分が、もどかしい。
「佐川さんは……
恋人以外の人にも、ああやって…できるんですか」
『加那』とのキスの事を
思った通り理解できないという眼差しで俺をじっと見据え、
彼女はおもむろに口を開く。
彼女が初めて見せるその冷たい視線を受け、
俺は小さく息を吐き出しながら言葉を繋いだ。
「………そう、…できてた
キスも、……それより先のことも」
俺を見る彼女の目が一層開いて何かを口にしようと口を開きかけた瞬間、
「――けど」
彼女が言葉を言うより先に、俺は彼女を強く見据えて口を開く。
「……もうどれもできない。
君が好きだって 気付いたから」
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