プロローグ

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「――え?もう帰っちゃうんですか?!  まだビールも残ってますし、 もう少しだけでも…ダメですか?」 必死の顔で隣の女が 鞄とコートを掴んで席を立とうとしていた俺のスーツの裾を掴んだ。 ――はぁ…… 気付かれない程度に息を吐き出して、やんわり掴んだ女の手を解く。 「また今度ね」 俺は分かれる時の常套句を告げ、西園寺に金を渡して ついでに女にもニッコリ微笑むと 靴を履いて飲み会の個室を後にした。
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