救出と、接近

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その日は一日外回りで会社には戻らず、柏原さんには会わなかった。 帰り会社に寄ろうかとも思ったが急ぎの仕事はなかったのを思い出し、 何より寝不足で倒れそうだったので取引先から直帰することにした。 どの時間帯でも混雑している電車に乗り込み、自宅を目指す。 暫くして最寄り駅につき、沢山の人に押されるように改札から連絡ブリッジへと出た。 ふと、今朝彼女が絡まれていた場所に視線を送る。 …どんなヤツの顔だったか思い出せないが、 思い出そうとするだけでイラついた。 彼女が絡まれていた今朝の様子を思い出し 自然と眉を寄せ、小さく決めた。 ――明日朝、 またあの時間に来よう 自分の中で勝手に決めた決まりに満足して、 人の波を抜けて駅を後にした。
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