救出と、接近

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――ショックだ だけど君を困らせてまで自分の気持ちを押し付けて、 一緒に行きたいとは思わない. 「今日は俺が後から行くよ、 先に行って」 そう言うと 彼女はわかりましたと、俺の横を通り過ぎる. 背中を見つめ吐息がこぼれた。 彼女が見えなくなって俺も歩き出す。 時計に目をやると、ギリギリでもないが余裕でもない時間。 はや足で会社に向かった。 エントランスのエレベーター前で他の女子社員達と居る彼女に追い付き、 今日初めてかのように挨拶をかわす。  彼女も同じように俺に返し、その事でも小さく胸が痛んだ。 5,6人でエレベーターを待っていると後ろから肩を叩かれる。 「おはよー」 「おはよ」 西園寺だ。 俺と西園寺のツーショットに若干女子社員が沸き立つ。 チラリと柏原さんを見ると、 やっぱり頬を朱色に染めて西園寺を見ていた。
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