冬でも夏でも

予測不可能

わかりました　と引きつりながら駆けていく山下が出た後、
カスガリファインに俺が少し遅れる旨を電話し、俺も化成品課を飛び出た。

山下に持って行かせた資料を作成した分時間がくってしまい、
駅まで走っていたらギリギリの時間になっている。

エレベーターホールの下ボタンを連打し、
逸る気持ちの中到着したエレベーターに飛び込む。

不幸中の幸いで、アル化学とカスガリファインは駅２つ分しか離れていない。

１件目をスムーズに終わらせられたらどうにか大幅遅刻は回避出来ると踏んだ。

ポーン　と緊張感のない音が１階に着いたのを知らせると同時に
俺はエントランスに飛び出す。

と、その先の自動ドアに
タクシーに乗り込もうとしている人が視界に飛び込んだ。

――あ

その人物が誰かを認識した瞬間、叫んでいた。