夢をみさせて

3/17
前へ
/453ページ
次へ
「おはよ」 「…おはようございます  今日はどうしたんですか?」 そう言って不思議そうに笑う彼女を通り過ぎ、 自販機に近づきボタンを押す。 ガコン お馴染みになった缶を取り出し、彼女に手渡す。 自販機に 【 あたたかい 】 飲み物が消えていく季節なのに、 彼女は冷たいカフェオレは飲まない。 冬でも夏でもホットカフェオレなんだそうだ。 「座って  この電車の次でも間に合うから」 そう言って植え込みに腰を下ろすと彼女も俺の隣に腰掛け、 こちらを見て「いただきます」とプルタブを開けた。 「待ってるなんて珍しいですね、どうかしましたか?」 そう訊ねる彼女に内心、 いつも待ってるんだけど とぼやく。 そう複雑な気持ちで思ったが、 本題に入らなければと俺は口を開いた。
/453ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2610人が本棚に入れています
本棚に追加