2610人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな彼女に一つ提案をする。
昨晩から考えていた事だ。
「助けて貰ったお礼に 何かしたいんだけど」
「…え」
大きな黒目をぱちくりさせてこちらを見上げた彼女は、
「助けてもらったって言うなら…
前に佐川さんにここで助けて貰ったので、
それでおあいこですよ。」
笑顔でそう言って
やんわりかわされそうになるが、俺も引かない。
「あれはたまたま通りかかっただけだったし
柏原さんに助けてもらった方が大きかったよ」
「でも」
「俺の気が済むと思って」
俺にそう言われ、
彼女はごくりとホットカフェオレを飲み干して暫く考え始めた。
俺も缶に残った最後の一口を飲み干して、彼女の言葉を待つ。
ちらっと俺の顔を窺うように見た彼女は、
思い切ったように口を開いた。
「………ほんとに何かしていただけるなら……
今度佐川さんがお休みの日、
私に一日つきあってくれませんか?」
最初のコメントを投稿しよう!