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「 …いいよ 付き合うよ」
俺の言葉に、
人ごみを避けて端に移動しようとしていた彼女の目は大きく開いた。
「俺、来週の日曜空いてるけど どう?」
――自分の心臓の音が、やけに近くで聞こえる
「…え、 ほんとに…」
「ホント
…お礼なんだし 都合、柏原さんは?」
「私は……大丈夫です、はい
じゃあ…… よろしくお願いします」
未だ信じられないといった顔の彼女は
戸惑い気味に俺に礼を言うと、慌て辺りを見渡した。
「あ、あの」
「あ、今日は柏原さん先ににいって」
俺がそう言うと「はい」と短く返事して
彼女は急ぎ足で俺の横を通り過ぎて行った。
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