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擡げた首を再び元の位置に戻しつつ、吸い込んだ息を勢い良く吐き出すと、その息に乗って紅蓮の炎がほとばしった。
シアの口から吐き出された炎は近くに建っていた家の屋根に直撃し、木で建てられているその家を瞬く間に灰にしていった。
(人間達は良くこんな燃えやすい寝床に居られるな……。これぐらいだったら俺の鼻息だけで燃えるぞ?)
人間の軟弱さに少々呆れながらもシアはまるで鬼のような恐ろしい声を上げながら次々と家を燃やしていった。……ただし、完全に人間が出払った後の家だけを狙って。
ただ、それでも燃やす予定の無い家も被害に合わない訳ではなく、隣家からの飛び火で燃え始める家もあり、その場合は火のある部分だけをシアが壊すことで事なきを得ていた。
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