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シアが目指したもの。それは東地区の中央に聳え立つ協会だった。
シアはその協会の頂点に下がっている鐘に向け、猛突すると通り過ぎざまに太く、長い尻尾を使って鐘を殴打した。
少々鈍い音と建物の一部がシアの尻尾によって破壊された音は瞬時に響き渡り、他の建物の外に居た人間達は一斉に空を振り仰いだ。
「ど……ドラゴンだ!」
「に、にに、逃げろー!!」
シアの姿を見て取った人間達は建物の中に居た者を含めて蜘蛛の子を散らすように逃げ出し始めた。
「ふむ、まあこれなら最小限で済むだろう。……では始めるとするか。」
シアは呟くと首を後ろに擡(もた)げ、大きく息を吸い込んだ。
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