尾崎こはく

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 世界移動を終えた直後、俺が作り出した光を引き裂くように、まばゆく光る刃が俺の方に真っ直ぐ延びてきた。  俺は咄嗟に鞘に収まったままの刀でそれを受け止めた。  かなりの衝撃で腕が悲鳴を上げ、身体中から汗が出た。  光が晴れ、俺が受け止めた刃が刀ではなく、先端だけ尖り、胴体は細い円柱型の歪な形をした黒い棒だとわかった。 「お前は誰だ?」  木造建築の小さい倉庫の様な俺の勤め先のお客様対応用の窓口で、黒いノースリーブのシャツに、柔道着の様な黒くボロボロのズボンをはいた若い男が立っていた。
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