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「いつもの事だ。言わなくても解るだろうが、言わせて貰う。」
「嫌よ。私はやめない。」
俺が言うより先に、彼女は言った
「死のうとするのは、やめろ。」
しかし、念を押す様に、いつもと同じ様に、俺は強い口調で言った
彼女は、悲しそうな顔のまま、屋上のフェンスに上って
跳び
落ちた
俺は舌打ちをして、直ぐに階段を駆け降りた
この時間は、学校には教師以外居ないし、その教師達も、今は職員室で仕事に追われている
俺以外は
つまり、早く行けば、他人に見付かる事は無い
階段を終えて、正面の玄関に出ると、彼女がそこに居た
服が若干破れているのは、落ちた時の衝撃か、それとも、落ちる途中で引っ掛けたのかは解らないが
しかし
彼女自身は無傷でそこに立っていた
「死ねない癖して、死のうとするなよ。」
俺は、ため息をついて、そう言った
もし、死んだらどうするんだよ
とは、口には出さなかった
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