2人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ、たっくん。」
10年前
コイツは
奈々はいつもそうやって俺に話しかけて来ていた
今思うと、奈々は俺の事を好いていたのかも知れない
と言うと、まるでその後離れ離れになってしまったかの様だが
実際の所、そんな事は無くて
同じ高校に進学し
同じ大学を目指し
そして、高二の夏休みの後
奈々は学校に来なくなった
その夏に何があったのかは、俺は知らない
俺はその頃、毎日部活動で忙しく、まともに会話をする事も、無かった
そして、その年の秋
奈々は、ずっと篭って居た家からも姿を消した
そして、俺が奈々に再び出会ったのが、去年の夏
道で歩いている奈々を見て
俺は驚いた
そして、声をかけてしまった
冷静に考えると、中学生の様な背格好の少女が、いくら昔の知り合いに似ていたからと言っても
それは別人に違いないはずだったのだが
最初のコメントを投稿しよう!