一章 始業式

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長ったらしい教員の話は誰も聞いてはいない。   ラインがぶつかっていた生徒や購買部に居た生徒も、クラス表を眺めていた生徒達も暇そうに座っている。 用意された椅子に空白がある不自然差も退屈な空気を前には飾りであった。   学園一のバカップルと名高い二人は未だいちゃついているにも関わらず教員も見て見ぬふりだ。   他にも沢山個性的な連中がいる。 長々と続く始業式に飽き飽きしていた生徒が、睡魔に襲われウトウトしていた。 欠伸をし、背伸びをしたい衝動を抑えているのか僅かに身じろぐ生徒もいる。 新たな生活に楽しみを見出した後の長話のギャップの差に退屈が倍増したのだろう。 他にも話を聞かずに居眠りする者もいれば、場などお構い無しに話をする者たちも多数。 好奇心から風に声を運ばせ、聞き耳を立ててみると何やらバカップル的な囁きが聞こえている。囁きの位置的に一年生ではないようだ。
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