12人が本棚に入れています
本棚に追加
「おーい、廊下は走るなー。ったく餓鬼が……仕事を増やすな面倒くさい……」
廊下を走る生徒を叱っていたのは、創蘭学園の高等部の国語担当教師だ。
「「だって先生!」」
叱られた生徒二人の声が綺麗にシンクロする。
「だってもロッテもねぇ。活力が有り余るなら運動部にでも所属しろ。文芸部でも良いぞ。オレが手取り足取り――」
その三人の脇をラインは、疾走して行く。
「あーったくよぉ、おい! クソ餓鬼! 止まれ!」
声に反応したラインは、停止し、振り向いて、自分かとでも言いたげに自らを指差した。
「あぁ、そうだ。ライン、廊下では走るなと何度言えば分かる?」
「んー、一不可思議回?」
「…………」
みるみるうちに国語教師の眉間に青筋が浮き立つ。
「だから餓鬼は嫌いなんだよグルァ!」
助走も無くいきなりのトップスピードでラインに迫る国語教師。
「せ、先生! 走っちゃダメですよ!」
生徒の制止の声も虚しくラインと国語教師は廊下の果てへ消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!