◇sweet devil◇

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……16年間、平々凡々と生きてきた。 良く言えば品行方正。 悪く言えば、無駄に地味。 周りの友達は恋だ、合コンだ、カレシだ、なんて浮き足立つけれど。 地味子のあたしには無縁の代物。 だけど勿論……そんなあたしにだって好きな人くらい、いる。 楠原 唯(クスハラ ユイ) 高1の冬。 「……つーかさ。唯、あんた朝っぱらから何やってんの」 親友の千紗(チサ)が呆れ顔で口を開く。 そんな顔をしても、千紗は美人で自慢の友達。 「翔君からメールが……待っ……、今いいとこ……」 あたしの瞳も意識も、全神経がスマホの画面に釘付け。 窓の外は枯れ葉舞い散る低い空。 だけどあたしの心は上昇気流に乗って、ここが教室の中だなんて忘れてしまうくらいの高揚感。 「わ、嘘っ!ちょ、見て、千紗!」 スマホの画像を千紗に突き付けると、彼女は大きな溜め息を一つ。 画面の中には、照れたようにはにかんで笑う翔君の姿。 「どうしよう、翔(ショウ)君てば、絶対あたしの事好きだよねっ?」
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