『水妖精の医者』

5/14
前へ
/14ページ
次へ
―『どっち』? 目の前には階段しかない。 つまり家へと向かうにはそれに頼るしかないのだ。 ならば『どっち』とはどういう意味なのだろうか? それともその言葉は全く違う別の意味を指すのだろうか。 いや、違う。 彼女はカゴを持ち上げ、静かにつぶやいた。 「【水魔法・泡球】(みずまほう・ばぶる)!」 するとベルの目の前に彼女ほどの大きさのあるシャボン玉が出てきた。 「よいしょ!」 かけ声と共にシャボン玉の上に乗ったベルはビシッとハウスの方を指して言い放つ。 「レッツゴー!」 プカプカ~~ するとベルを載せた宙に浮かぶシャボン玉はハウスの方へと向かいはじめる。 階段を登る以外にハウスへとたどり着く方法。 それは簡単である。 この世界でありふれた【魔法】を使えばいい。 たったそれだけのことだ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加