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「いやぁ、よく来てくださいました。昨日は息子をどうもありがとうございました」
「いえ、こちらこそ泉くんとは仲良くさせてもらっていたので、お役に立ててよかったです」
あれから、瑛さんの家に泊まるので家に電話をかけ、通学電車で具合が悪くなったところを電車が一緒で仲良くなっていた瑛さんと偶然会い、泊まらせてもらうと誤魔化し、泊まりの許可を得た。
そして僕達は今、小鳥遊家にいる。
瑛さんはさすが大人と言わざるを得ないスマートさで父さんの好きな羊羹を渡し、対話していた。
「ところで、加賀美さんはいつ息子と知り合ったんだ?」
「3ヶ月ほど前です。僕が落としたハンカチを泉くんが拾ってくれたのがきっかけで、それからは電車が一緒なので仲良くなりました」
……よくそんなすらすらと嘘が口から出てくるなぁ。
僕も見習わなくちゃね。
「そうですか。息子はあまり人と関わったりすることがなく、友達もあまり作らないみたいで。だけど人を見る目があるので、昨日は安心して君に任せられたんです」
「ありがとうございます。泉くんはとてもいい子で、親御さんの教育が良いからだと思っていましたが、やはり正解でした」
「ははは。いやいや、私じゃなく息子がいい子に育ってくれただけですよ」
……父さん、そんなこと思ってたんだ。
いつもぽやぽや穏やかな顔してたから、そんなこと考えてたなんて分からなかった。
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