切っ掛け

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にしてもどれだけ頭の回転が速いんだ? その上、慣れてるというか。 「作戦立案で言うならば、考えるべきは3つ。まず勝利条件や戦闘員からなる戦闘方針。戦局の流れを左右する初期行動。そして先程の必勝パターンとも言うべき戦法だ」 1本ずつ指を立てて計3本。抑揚のない声音で言い並べていく。 戦闘方針と初期行動、その2つが大事で考えやすいってのはよくわかる。俺の作戦も、甘さはあってもある程度出来ていたと思う。 「晴輝の場合、戦闘方針は良いだろう。ある程度理解はしている。だが初期行動は考え方を改めろ」 「……え」 多少の自信がばっさり切り捨てられた。そこまで? 「晴輝は機動力があるため、相手の出方を待つ傾向がある。判断力と対応力があるならば構わないが、晴輝はまだ未熟な上、複数人の戦闘ではさらに速いそれが求められる。現状では無謀だろう」 「い、いや俺としては開始から突っ込ませたつもりなんだけど」 「それでは足りないということだ。開始地点から相手までは距離がある。その距離を走って詰めるつもりならば、当然相手は余裕を持って先手を打てるだろう」 ……言われてみればそりゃそうだよな。牽制って考えがまるでなかった。そこまで具体的な手が思い浮かばなかったんだけども。 「まずは全員で初手から相手に負担をかけていく割り切った行動で構わない。細かな動きは慣れてきてからだ」 「……うん、わかった」 最序盤の如月の竜巻。あれが見本と言っていい。俺達の動きを牽制して、自分達は作戦を進める理想的な行動だ。 それを考えるべきなら、竜一か御山かで先制攻撃すべきだったのかと思うし、ほぼ近接しかない木原と狩谷がいる時点で、俺達は有利ってわけでもなかったんだ。
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