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……マジでどこ行ったんだ?
うぅむ、家の外に出たとしかないか?
つっても、飛鳥一人で行きそうな場所なんてなぁ……。
まぁ、荷物があるし出発までには戻って来るか。
とりあえず、部屋を出て考えながら下に降りると、
「……おはよう」
「おう、ってこんな朝っぱらからどうしたんだよ」
結衣がリビングにいた。もはや見慣れたような、少し不満気な顔が俺を向く。
「朝っぱらって……もう10時半でしょうが。って、そんなことはいいのよ」
呆れ果てたって言わんばかりに肩を竦ませて、そして自分で自分にツッコんだ。
「あの馬鹿兄貴見なかった?」
「朝から見かけないんだとさ」
すでに話は聞いていたらしく、竜一がすかさず補足を加える。
「いや、見てないな」
朝起きて窓開けた時も、長老と江尻のおっさんくらいしかいなかった。
俺と竜一は起きたタイミング同じだし、見てないだろうな。
「……そう」
結衣は不満気というより、消沈した様子で視線を落とした。
「うわ、珍しい。いつもならどうせすぐ帰って来る、とか言ってほっとくのに」
「別に……心配なんてしてないわよ。ただ、ちょっと用があって」
呟くように答えつつ、右足を僅かに持ち上げて、爪先で床を数度叩く。
絶対心配してんな、これ。
「……何よ、その目」
「別に何でもないです」
生暖かい目で見てたら、胡散臭そうに見返された。ここはさっと引く。下手なこと言ったら、また何か飛んできそうだし。
「ハハ、あ、そういや晴輝。飛鳥は起きてたか?」
「いや、いなかっ……」
竜一の問いかけにすぐ答えかけて、気付く。
徹も飛鳥もいないって、これ……。
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