夏の始まり

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「--最後に、この一学期間。特に一年生は慣れない環境でよく頑張った。 その褒美というわけではないが、これから約40日間は夏休みじゃ。家族の元に帰るもよし、学園は毎日開いとるから、留まって訓練に励むもよし、はたまた旅行に行くもよし。各々休みを満喫して、続く二学期に備えてほしいと思う」 校長は微笑みを湛えたまま、そこで一度口を閉じた。 当たり前だが、他に話す者はいない。 校長の長い話にうんざりしていて、パッと見ただけでも寝てる人は随分いる。 「そろそろ終わりとするかの」 と、とうとう待ち望んだものがやって来たが、誰一人として背筋を伸ばさなかった。 むしろ、一番聞きたくないものが来ると、最後まで校長に視線を送り続けていた人も、一斉に外した。 そして校長は人差し指を胸の前でピンと立てーー 「梨がナッシング」 満足気な表情で校長は壇上から去って行った。 どこそこからため息が聞こえる。 一学期最後の集会にして、やっと知ったのだが、校長はつまらないギャグを好む傾向にあるらしく、集会の度に、話の最後に一つ披露する。 ……いやまあ、それだけだけど。 「では、終業式を終わります。起立」 という司会の指示に、そこら中からガタガタと音が鳴る。 慌てて立ち上がった者が大半だろうか。 当然、全員が落ち着くまで待つわけもなく、 「礼」 バラバラに、礼の音頭とお辞儀が体育館を満たした。
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