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そんなこんなで昨日が終わり、彼女は朝早くに目覚め、暇なので此処に来て今に至る。
「…」
あれほど嫌いだった人の群れも景色も此処で一望できる。
ルミネは良く此処に来てこの景色を眺めた事を思い出す。
今だけはこの街は素晴らしいと思える。そう、今だけは。
もうすぐこの夢は、魔法はとけてしまう。自分が独り占めできるこの景色は時計塔の管理人によってぶち壊される。
5…4…3…
彼女は心の中でカウントダウンをし、此処から去るために裏へと周り込んだ。
2…1…
ルミネは躊躇いなくその場から飛び降りた。この時計塔は20メートルはあるが慣れたように体を空中で一回転させ、スタッと地面に降り立つ。
…0。
陽気な管理人のおじさんの声が聞こえる。今日も時間通り。
ルミネは時計塔に背を向け走り出した。
方向は昨日泊まった宿屋。
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