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日が燦々と降り注ぐ、ある晴れた日の午後、ここサンドールというそれなりに大きい街は出店を構えた商人やその商品を買いに来る客でごった返している。
サンドールはこのウィズテアという大陸の中でそれなりに商業が発達していて、回りくどくなくいうとこのくらいの人がいるのが普通で喧騒や雑音はここで育った子供たちにとって当たり前と化していた。
その中で子供をターゲットにしているいわゆる紙芝居屋はいつにも増して混んでいた。
全ての子供たちが紙芝居に夢中になっているようだったが一人の少女だけが広場ではなく、ただ黙ってぽつりと広場の隅の狭い街道に興味無さげに――というよりもどこか自分の世界にいっちゃってる――静かに佇んでいる。
その少女は長くその場に居ることなく、広場を一瞥して静かに何処か暗い雰囲気の街道へ消えていった。
「…」
その様子を見ていた少年がいた。透けるような銀色の髪に左目に包帯をして何故かサングラスをかけている、ちょっと変わった風貌。服装も立派ではないが綺麗とはいい難いまあ、旅人のいでたちだ。だがその顔立ちは整っており、スッと通る鼻梁と紫だろうか?サングラスの奥に秘められた瞳の強さは幼いながらも甘く、危うい雰囲気をかもしだしていた。少年は楽しそうに少女の後を追い、広場では紙芝居がひとつ終わっていた。
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