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昔から紅は災いの象徴として人々に忌み嫌われてきた。そしてそれが躯に現れる子供は罪人と呼ばれた。
――何故罪人なのか?
――躯に紅を宿した者はもはや人ではない。死ぬことのない不死身の躯。【フシ】だから。
――その子供たちは業を持って生まれる。一生消えることのない罪として。永い時を経ても許されることはない。それは先祖の罪か、それとも。それが解明されたことはない。皆が恐れたから。罪人に関わると良くない事が起こる。そんな風に人々の間では語り継がれてきた。
ルミネは少年を見つめた。
金の髪が風に揺らいでなびく。カイも奇っ怪な格好だったが彼女もそうだった。顔立ちは少々埃で汚れているものの、誰が見ても美しいと思わせる。真っ直ぐカイを見ている瞳はどこまでも深い蒼。ただ、可愛らしい風貌には似合わない少々ゴツい眼帯がしっかりと左目を覆っていた。
しばし沈黙が続く。その沈黙を先に破ったのはカイだった。
「…怖いと思うか?」
自虐的に呟く少年を見て少女は静かに首を横に振った。
そしてためらいなく左目の眼帯を外す。
そこから見える瞳は紅だった。
「君は…」
ルミネは淡々と言った。
「私も罪人。そして貴方と同じ【フシ】」
「…」
カイは言葉に詰まった。なんとなく予測は出来ていた。でもそれを聞いてしまうと…何とも言えない気持ちになる。暫しの沈黙の後、ルミネがカイに問うた。
「…貴方はどうして旅をしているの?」
「え…?」
「何か理由があるんでしょう?それともなんとなく旅をしているの?」
ルミネの辛辣な言葉にうろたえながらもカイは答えを口にした。
「…俺は自分の死に場所、死ぬ方法、そして罪人の罪は何なのか、どうして俺たちは忌み嫌われなければならないのかその理由を探しているんだ。…まあ、本当はもう生きるのに疲れただけなんだ。だから【死ぬ】ために旅をしている」
カイは笑ってネガティブだろう?と言った。
ルミネはただカイを見つめていた。
「…どうして」
「ん?」
「どうして貴方は今更そんな事をするの?いくらもがいたってどうせ私たちは罪人。赦される時なんて来ないのに」
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