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すると琥珀は自分のポケットを漁り、中から何かを取り出して俺の前にかざした。
琥「これ……みっ、湊が前に……あそこで落としたって……言ってて……。
あそこは危ないから…ちっ、近づいちゃ駄目だって、言ってたけど……これないと困ると思って……だから探してたの……です」
ゆらゆらと鍵が俺の前で揺れる。
俺の……バイクの鍵……?
琥「あっ……湊には言わない……でくださいっ……。
黙って……湊の寮の部屋に置いておくつもりだっ……から。
あそこ……で探してたの……分かっちゃう……」
思い出した。
前に確かにボヤいたかもしれない。あそこで確かに俺はバイクの鍵を落とした。
探してくれてたのか……?
俺のために?
湊「あ……わり……。
あ、ありがと……な…///」
驚いて狼狽えたような返事になってしまった。
琥「……??
なんでっ、あ、あなたが……ありがとうなんですか??」
しまった……。
舞い上がって墓穴掘っちまった。
湊「い、いや。
そ、そいつも多分……ありがたく思うだろうなって」
琥「あ、うん……。
だったらいいな……!!
この事ヒミツ……ね??」
首を傾げて俺の方を再度見てくる琥珀。
湊「別に直接渡しちまっていいと思う……ぞ」
琥「へっ!!?
だっ、ダメダメっ!!
あそこは近づいちゃ駄目って言われてたもん……!!
でも湊が困るのは、嫌だった……から」
湊「それそのまま言えばそいつも……よ、喜ぶ……と思うぞ」
琥「そっ、そうかなっ……!!
湊、喜んでくれる……かなっ!!」
湊「あっ、ああ……」
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