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誰もが部活へ行き静まり返って冷たい階段。
その下に小さくポツリと、でもあたたかい。
武蔵山先生。
今一番見たかった背中に手を置き、
今一番頭を置きたい肩をこちらへ引き寄せ、
今一番見たかった顔は見れなくて、
その代わり何か言いたそうなその口を震える自分の口で塞いだ。
聞こえるのは心臓の音と小さな息のみ。
捨てるべきものを間違っていたんだ。
最初からこうやっていればよかったんだ。
さっきまでたくさんあった戯言が、白く弾け飛んでしまって。
圭一郎。
空っぽになった頭の中に唯一残った名前を零し続けた。
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