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「今日もバイトかー」
高校一年の茶髪でショートカットの女子、由香里が言った。
由香里は学校が終わると、直接バイト先に行った。
バイト先は規模が小さいお店ながらも様々な物が売っている。
由香里はバイトの制服である、SM嬢の格好に着替え店頭に立つ。
ガラガラ。
「いらっしゃいませ。ご主人様」
由香里は、ムチをバチンと床に強く叩きつけ、言った。
格好と口調が一致していないが、そのミスマッチが人気の一つのようで、客足は常に絶えることはない。
「何にしましょうか」
由香里が言うと、客の眼鏡をかけた中年男性は、はあはあとした吐息を漏らし、由香里をじろじろ見回しながら言った。
「じゃあ、その猫の頭を一つ。下さいな」
由香里はにっこりと笑い、猫の頭をガラスのケースから一つ取り出し、小さな箱に入れた。
「猫の頭、お好きなんですか?」
「ええ、私は腐らないように防腐処置を施して、棚にいくつも飾ってあります」
「あら、素敵!」
その反応に気分を良くしたのか、客は他の商品も買いまくった。犬の頭、象の頭、カバの頭、牛の頭……。
「こんなにも買ってくれてありがとう」
うふっと由香里は笑う。
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