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私の目の前で赤い花びらが散った。
否、花びらだと思ったのは彼の身体から飛んだ鮮血だった。
ゆっくりと彼の身体が後ろに倒れ込み、そんな背中を私はただ見つめることしか出来ない。
「ーーー!!」
叫びにならない叫び声を上げながら私は彼の元へと走り、ぐったりとした彼の頭を持ち上げる。
彼は目を閉じ、口の端からは血が顎へかけて流れていた。
胸に目をやると、血がじわじわとシャツを赤く染めて行く。
これ以上出ないで!
そんな思いでシャツの上から手で押さえるも、そんなもので血が止まるわけもなく、ただ私の手を赤くしただけで、血はさらに流れ出て行く。
私の涙が彼の顔に落ち、血と混じって下へと流れていく。
彼の血はどんどん大きく広がり、私たちの周りに血溜まりを作って行く。
そして被弾した時に飛んだ彼の眼鏡をも飲み込んだ。
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