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どうやら見知らぬ部屋の見知らぬベッドでずっと眠っていたようです。
起きた時に肩が痛かったのもゴロゴロし過ぎたせいだけでなく、ベッドが固かったといのも理由の一つみたいです。
(もしかして、誘拐?)
そんな非現実的な不安が頭をよぎるのも、この薄暗い部屋のせいです。
実は周りを見渡してみても様子がよく見えないんです。
別に僕の目が悪いとかではなく、光源がそばにある机で小さく揺らめく燭台(しょくだい)のロウソクしかなく部屋全体を照らすにはいささか小さかったからです。
(にしても、今時ロウソクだけとは。倒さないように気をつけるです。)
不思議に思いながらも、燭台を手にとり部屋の中を見て回ることにしたです。
それほど広くない部屋をロウソクの火を消さないように気をつけながら一回り。
(はははっ。きっと、これは悪い夢です。)
自分の置かれている状況を考えると頭が痛くなりそうです。
(寝てた頃がどれだけ幸せだったか………。いっそ、ずっと寝てたら良かったです。)
歩きまわって確認出来たのは、ぼんやりと見えていた通りこの部屋がそんなに広くないという事。
まぁ、これはそれほど問題という訳ではないのですが、それ以上に問題だったのがこの部屋には外界との接点と呼べるモノが一切無かったことです。
そう、この部屋にはドアや窓などが全く無く、自分が何処から入ったのかすら解らない構造だったのです。
(いやいや、有り得ないです。どんだけ手の込んだドッキリですか!!!)
などと内心で現実を否定している自分の顔がどんどんと引き攣(つ)っていくのを感じたです。
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