嫌われても守りたいものがあるです

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「バジル………。」 「大丈夫だ、お前らに手出しはさせない。だから………。」 「そうじゃないんです。バジルに、バジルに聞いて欲しいことがあるんです。僕はバジルに『隠し事』をしてたんです。」 てっきり、別れの挨拶だと思っていたオレはシャルルの言葉に戸惑う。 しかし、すぐにしっかりと聞かねばならない事なんだと悟った。 シャルルの表情が何かを決断した男の顔だったからだ。 「バジル………。僕は『ダンジョンマスター』です。」 「………えっ?ちょっと待ってくれ、シャルル。今、なんて言ったんだ?。まさか、ダンジョン………。」 「僕はダンジョンマスターなんです。」 先程の魔具が外れないというマーリンの宣告はすんなりと受け入れたというのにシャルルの言葉を受け止められない自分がいた。 「シャルル、そいつは笑えない冗談なんだろ?」 違う、本当は会った時から気付いていた。 「なぁ、冗談だって言ってくれよ。なぁ、シャルル………。」 そう、オレはずっと気付かないふりをしていただけだ。 オレの問いにシャルルの沈黙が続く。 「なぁ、シャルル。頼むから………。」 頭の中では、ここに迷い込んだあの日から今にいたる記憶が目まぐるしく思い出されては消えていった。 「シャルル、なんとか言ってくれ!!!」 頭の中がグチャグチャになってしまったオレは思わず叫んでいた。
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