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「僕はバジルを………助けたいんです!!!」
「オレを、助ける?」
先程のオレ以上の声で確かにシャルルは叫んだ、オレを助けたいと。
身体は小刻みに振るえ、その小さな手は固く、強く握りしめられていた。
目にうっすらと涙を浮かべながらシャルルは更にオレに語る。
「バジルはダンジョンマスターが大嫌いです。僕がダンジョンマスターだと知ったらバジルはきっと僕達を嫌いになるです。」
そう、確かにオレは弟の敵(かたき)であるダンジョンマスターに復讐したいと思っている。
「でも………でも、バジルに嫌われても………そうなってもバジルには生きていて欲しいんです!!!『ダンジョンマスター』の僕ならバジルを助けられるかも知れないから!!!」
ダンジョンマスターは世界の敵だ。
全てのマスターを同一視する人間はいくらでもいる。
今、この小さな少年はどれほどの恐怖に立ち向かっているんだろうか?
シャルル達はこんなオレを受け止めてくれた。
オレの過去を知ってるはずなのに、それでも正体を明かしてくれた。
オレの身体が怒りに震える。
「………ふざけんな。」
「!!!」
オレのつぶやきにシャルルがビクリと反応する。
「やっぱり………。やっぱり、嫌われてしまったですね。」
「ふざけんなよ、シャルル!!!お前がダンジョンマスターだろうが、ペロやロースがダンジョンモンスターだろうがそんな事は関係ねぇ!!!オレはな、シャルル!!!そんなちっぽけなことでお前らを嫌いになんかならねぇ!!!」
「え?じ、じゃあ、バジル………。」
少々、声がでかかったせいでシャルルを泣かせてしまったようだ。
「安心しろ、シャルル。てか、男がメソメソすんじゃねぇよ。」
「な、泣いてなんかないですよ!!!これは汗です!!!」
「へい、へい。」
この小さなマスターの勇気をオレは一生忘れる事はないだろう。
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