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真っ白な部屋の中には、少女がいた。腰まで伸びた銀色の長い髪は、純白のワンピースと見分けがつかないぐらい白く透き通っている
少女の目の前には、椅子にくくりつけられた女がいる。白く濁った右目からは涙がこぼれ、左眼はそこになく、空洞の眼窩から血が滴り落ちていた
口は動いているが、そこから声が出ることはない。声帯は、少女の手によって薬品で潰されている
女の身体は血で染まり、少女の手や身体もまた、鮮やかな赤に染まっていた
「今まで、私を恨んで死んでいった人は186人いました」
少女はナイフを振り上げ、女の腕めがけて降り下ろした。刃が肉に沈む音が、小さく響く
女の頭がびくりと跳ねたが、悲鳴はない
「その全員と、貴方に誓います」
少女は突き刺さったナイフの柄に、ハンマーを降り下ろした
「私が死んだら、必ず…必ず地獄に堕ちます。だから、どうか」
部屋には、少女の声だけが響く
「どうかわたしを、許して下さい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさ い。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
謝罪の言葉の数だけハンマーは降り下ろされる。そのたびに刃先は深く、沈む
既にナイフは女の腕を貫通し、ハンマーは直接女の腕へと降り下ろされている
パキ、パキ、という音に混じって、耳障りな湿った音が合わさり、それは聞く者の鼓膜へこびりついて、永遠に消えない残響となる
「…許して。」
少女は涙を流しながら
女の頭を砕いた。
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