46人が本棚に入れています
本棚に追加
事切れた女を、しばらく無表情に見下ろしていた少女は、ふと、思い出したように、女の砕けた頭を優しく撫でた
少女の瞳からは、相変わらず大粒の涙がこぼれ落ちる。止まることを知らないそれは、少女の頬に涙の跡を残す
まるで子供が寝付くのを待っている母親のように、優しく、優しく。少女は女を撫で続ける
女の頭からは、トプントプンと、とめどなく赤い液体が流れ出ていた
流れ出た液体が黒ずみ、固まり始めたところで、少女はようやくその手を止めた
許して。少女は再び呟いて、部屋の出口へと向かう。振り返った部屋は、どこまでも真っ白で
少女の網膜には、女の回りに飛び散る鮮血の残像が焼き付き、真っ白な部屋を黒く点滅させた
少女はドアへと向き直り、部屋を出る
向かう先は食卓。もうすぐ、朝食の時間だ
.
最初のコメントを投稿しよう!