プロローグ

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古くから、拷問は犯罪情報自白のための手段として使われていた しかしその非人道的な行為による自白は、犯罪の証拠として価値の無い国が多く、拷問は歴史と共に廃れていったのだ しかしこの国では、拷問は研究や取り調べという名目で、今も尚、公然と行われている 拷問を専門とする独立した組織。そこが、シロの居場所だった 国は犯罪者をここへ送り込み、自白を強要する。犯罪者の刑罰のために、拷問を依頼することもある 又あるときは逆に、犯罪組織が、組織の人間をここに送り込むこともある。組織を裏切った人間を見せしめに痛め付けるためや、スパイ容疑をかけられた人間に情報を吐かせるためなど、目的は様々だ 拷問人達は、それらを拒むことはない。拒む権利も有さない 彼らは言われるまま、拷問を行う 拷問により得た情報は、あまりに多く、あまりに重大なものである そのため彼らは、外に出ることを許されない。名前を持つことも許されない 彼らには番号が与えられ、日々拷問だけを行う もはやそこは、独立した国家と言えた。けれど彼らには、拷問人には、人権などはない シロは、そんな場所で生まれ、育った 彼女は拷問をすることしか知らない それしか教えられなかったからだ 彼女ができること、それは拷問と。そして 涙を流すことだけだった。 .
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