Prologue

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───嫌いだ。 どうしようもなく、嫌いだ。 誰にでも振り撒く、何を考えているのか分からないあの笑顔が 誰にでも向ける、あの胡散臭い優しさが 私は嫌いなのだ。 彼はいつだって余裕そうな笑みを崩さない。 まるで私のことを見透かしているかのように、私の欲しい言葉をくれる。 それが堪らなく嫌で仕方無い。 だから私は彼に極力関わらないようにしようと誓った。 なのに。 どうして私は彼を拒めないのだろう。 「ほら、早く」 ───あぁ、今日もまた。 「目、閉じて?」 私は、彼を拒めない。  
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