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吉美(きび)桃瀬(ももせ)は、物心ついたころから異界と共にあった。
他人が見えぬモノが見える。
他人が感じぬモノを感じる。
他人が聞こえぬ音を聞き、他人が嗅がぬ臭いを嗅ぐ。
神社に生まれついた所為なのか、生まれは関係ない個人の能力なのか、悩んでみても始まらない。
見えるからには居るのだろう。
見えない者も居るのだろう。
見えるモノを居ないと言っても仕方がないし、見えない者に居るのだと説き伏せても仕方がない。
異界のモノどもは、ただ其処に居るだけなのだ。
ならば、捨ておけば良い。
桃瀬は、幼いころから達観した子どもだった。
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