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遠藤明弘が遺体で発見されてから数日が経った。
遺体が発見された場所は、学校の体育館ステージ横の準備室だった。
第一発見者は生徒指導の西垣先生だ。朝の見回りの途中に発見したらしい。
遠藤明弘は準備室で首を吊っている所を発見されたが、遺書などは発見されていない為、自殺なのか他殺なのかははっきりしていない。
「稲森先生、遠藤の家に行くんですって?」
西垣先生が私にそう言って話しかけてきた。
「ええ。ちょっと。お葬式には顔を出せませんでしたからご焼香にと思いまして」
「…そうですか」
何か言いたげな西垣先生を置いて私は遠藤家へ向かった。
遠藤明弘は妹と二人で暮らしていたが今はその妹も居ない為、遺骨は親族が引き取ったらしい。
私は、遠藤家にたどり着くとインターホンを押した。中からは白髪交じりの女性が顔をだした。
「すいません。遠藤明弘さんの通っていた学校で教師をしています、稲森と言います。葬儀に顔を出せなかったものですから、ご焼香だけでもあげさせてもらえればと思いまして伺わせていただきました」
「そうですか、お上がりください」
その女性について私は遠藤家に足を踏み入れた。
遺骨に手を合わせてもどると、先ほどの女性がお茶を出してくれた。
「どうも、ありがとうございます。あの子も喜んでると思いますわ」
私は、あいまいな笑顔でその言葉に答えた。
「いい人でしたよ。明弘さんは」
そう付け加えた。女性は俯きながら小さく何度もうなずいていた。
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