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1週間ほど、家から出ずに生活をしていた。
さすがに、食料もなくなったので仕方なく買い物に出かける。
出先のスーパーで見知った顔に出会った。
透さんだ。
私は思わず駆け出していた。透さんを捕まえるように抱きついた。
「…洋子さん?」
透さんはすこし不思議そうな顔をしていた。
「よかった、もう大丈夫なんですね。私心配で心配で。よかったぁ、透さんが無事で」
透さんは少し、怪訝な顔をした後
「洋子、ひどい格好をしていますよ。一度家に来てください」
私の頭を撫でながら穏やかな表情で笑った。
透さんの家に着くと中から彩香が顔を出した。
「あれ? 洋子お姉ちゃん。どうしたのその格好?」
「とりあえず、お風呂に入ってください」
透さんに背中を押されて浴室に入る。
「服は外に出して置いてください。洗いますから。乾くまでの間はTシャツとかしかないですけど」
透さんの足音がトタトタと浴室から離れていく。
その音を聞きながら浴室にあった全身鏡に映る自分を見た。
確かにひどい格好をしてる。自分でもそう思った。
一週間以上お風呂にも入っていないのだ。髪の毛はバリバリに固まっているし、体の垢もシミのようにこびりついている。
これは、ひどい。私はここまで落ち込んでいたのかと自分でも驚いた。
そして、自分の頬をぴしゃりと叩いて気合を入れる。
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