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「――…」
「…目、覚めたか?」
目を開くと、見知らぬ部屋に昨日の男の子。
どうやら私は、あの歩道橋の上で意識を失ってしまったようだ。
「大丈夫か?」
彼の問いかけに、首を縦に振る。
「…そ、なら良い。腹減っただろ、なんか食うか?」
彼の問いに、首を横に振る。
「……なぁ、なんであんた喋んないの。」
一瞬戸惑って、ベッドの傍らにあったサイドテーブルから自分の鞄からメモとペンをとりだす。
“私、声が出ないの”
「……声が、出ない?」
驚いたように目を見開いた彼は、私の書いた文字を読んで口をつぐんだ。
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