ｵｶﾙﾄ探偵事務所『ＢＥＧ』

人形

「霊感のあんまり無い俺でもその人形の殺意が伝わってきますよ！」

そりゃそうだろ、さっきからずっと「殺してやる」ってハッキリ言ってんだから…と言ってやりたかったが、ポテチを口いっぱいに頬張った三十過ぎのオッサンの顔見てたら言う気も失せた。

「で？依頼主はこの人形を俺にどうしろってんだ？」

「気持ち悪いからなんとかしてほしいって言ってましたよ！」

「だから！供養してほしいならどっか有名な寺に持ってけばいいだろが！日野君分かってる？うちは探偵事務所だよ。こんな気持ち悪い呪われた人形引き受ける場所じゃないわけ。」

「まっいいじゃないですか、引き取って貰う代わりって三万円くれたことですし。」

俺は三万円のためにさっきから鳥に何百回と「殺してやる」と言われてると思うと、日野の首を締めつけてやりたくなってきた。