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よく見ていると、集まっていた人達の顔は獲物を狩る獣の目であった。その鋭い眼光はいったい何を睨んでいるのか?この日本にそんな目をする人間が沢山いて驚いた。
正午になり、高らかに笛の音が響く。すると一斉に人波が流れ込んだ。私は翻弄されながら目的の本が販売されているだろう、唐草書房の店に急いだ。
唐草書房はスタート地点からかなり離れたところにあるようだった。周りには殆ど人はいな。皆必死になってなにかの本を探しているのだろう。そういえば赤い大きな幟を立てていた店があった。かなり主張が強い店だったので、大抵の人間はそこにいったと思われる。
唐草書房には様々な古本が並んでいることで一部のマニアから支持を得ている。店主の男性が蛸に似ていることから蛸の親父さんと呼ばれて慕われてもいた。
唐草書房は本棚に沢山に本を並べて外に出していた。本棚には目を見張る程の値札が貼られている。本棚ごと購入出来るそうだが、あの値段では手を出す者は殆ど居ないだろう。
本棚には様々な著者があいうえお順に並んでいた。
芥川龍之介、赤川次郎に始まり、川端康成、坂口安吾、宮沢賢治、樋口一葉、三嶋由紀夫、村上春樹など、有名な著者が並んでいた。そして新たに入荷した所に、見慣れた名前があった。
その本の背には「永久の調べ」そして鳥山雛とあった。
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