0人が本棚に入れています
本棚に追加
薄い氷の上に立っているようなものだったの
そんなに綺麗なものじゃないけど
でもそんな感じ
1cmも無いような
薄い氷みたいなもので
構成されてる日常
いつみても皹があった
そんなとこに立ってたら危険
そんなこと知ってた
でもその1cmの世界が好きだった
いや、殆どは嫌いだった
皹だらけで、冷たくて、足は霜焼けて
何の為にここにいるんだろう
でも、その中で時折反射して、きらきら光る太陽の輝きが好きだった
それだけの為に
とっくに壊れてた
太陽の光なんかじゃなかったよ
気がついたら氷は割れてた
気がついたら溺れてた
冷た過ぎたから陸に上がった
陸には氷の上で見る世界より、ずっと輝いて、綺麗な世界が広がっていた
ずっとこんなのに憧れていたんだと気づいたのは最近
振り向いたら氷は壊れて、既に私の居場所なんかなかった
こんなに広い世界を知ってたら、最初から狭い氷の上なんかに、乗らなきゃよかったのにね
でも私は時々恋しくなる
氷の上の光を
もう二度と見れないけれど
あれだけは好きだった
最初のコメントを投稿しよう!