1.最後のキャッチボール

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黒坂は無駄だと思えるほど明るく輝く太陽を見て、目を細める。 とある都内の学校のグラウンドの傍にある小さな黒いベンチで黒坂は仰向けになっていた。今日始業式が学校で行われ、黒坂は晴れて高二になった。 たかが、進級、されど進級、だ。今年からは後輩も出来る。去年よりはまともに高校生活を送りたいものだ、と呑気に考えながら視界に広がる空に浮かぶ雲の輪郭を指でなぞった。 「黒坂君、サボってるのみーっけー」 急に近くから声が聞こえ、黒坂は慌てて立ち上がる。 「何だ……一法師か……」 黒坂は目の前の男を見て、少しほっとした表情を浮かべる。一法師樹(いちほうし・たつき)、黒坂の同級生であり、黒坂の所属する野球部のチームメイト。 「おいおい、練習始まってるぞ黒坂君、いくら自由練習だからって休んでいいってわけじゃねえよ」 一法師はからかうような口調で言った。 黒坂は言葉を返さず、うつむいてため息を吐くだけだった。
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