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それでもこのまま、キスの雨が続いて欲しいと願う私は、どこまでのぶがほしいんだろうって、自分の貪欲さに呆れる。
でも、ほしい。
なのに、不意に雨はやんでしまうんだ。
「やべえ、このままだと止まんなくなる」
そう語るのぶの目は昨夜みたいな熱を帯びていなくて、言葉よりは気持ち冷静だなって、わかってしまうよ。
仕掛けたくせに狡い。
だけど、のぶは優しくて決まってこの後はこう呟く。
「お前の髪、洗っていい?」
とても愛おしいものを見る瞳で私を見て、そう言うんだ。
だから、私の気持ちに中途半端に火を付けた事が、いつも帳消しになってしまう。
「うん、嬉しい」
浴槽にお湯を溜めてから中に入って。
座って頭を上向きにして、首は痛くないようにタオルを挟んで。
私の左側にのぶは膝立ちで入って、シャンプー。
至福の時間。
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