二人

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知ってるくせに、どうしたらいいかなんてもうわかってるくせに。 わざとゆっくりと探し回るように動くから、その全てを受け止めながらも、もどかしくて私は体をずらす。 お願いだから。 「どこに触れてほしい?」 意地悪に聞かないで。 恥ずかしさに黙っているとさらに私を追い込むのだ。 「教えてくれないならやめるけど?」 そう言って、その滑らかに動く指先を本当に止めてしまう。 「あ…」 思わず声が出た。 その声は残念な気持ちをありありと貴方に伝えて。 「止めてほしくない?」 そう、意地悪に聞かれる。
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