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瞬間、眩しさに目が眩む。
ぽっかりあいた穴の向こう。
そこにあったのは、夏の海。
青い空、入道雲。
白く光る熱い砂、ビーチパラソル。
フリルの付いたオレンジの水着を着た幼い君が、ぱたぱた裸足で駆けていく。きゃあきゃあはしゃいで楽しそうに、覗き穴の視界を通りすぎた。
僕はカーテンをそっと閉めた。
「寂しい景色だったでしょう?」
僕は何にも言えなくて、ただ君をぎゅうっと抱きしめた。
潮騒が聞こえた。心音の代わりに。
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